​胃酸とピロリ菌について

ピロリ菌(正式名称:ヘリコバクター・ピロリ菌)は胃の中で生息している菌のことです。
胃の中には食べたものを消毒するために
胃酸があります。胃酸は強い酸のため、胃の中に生息できる細菌はいないと長い間言われていました。ところが約30年前、オーストラリアの科学者が胃の中にいるピロリ菌の培養に成功し、これが胃潰瘍・胃炎の原因の一つであると証明しました。(この業績はノーベル賞にもなっています)
その後研究が進み、現在ではピロリ菌が、
慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因の一つであることだけでなく、胃がんとの関連性についても証明されています。

​また特殊な悪性疾患(胃MALTリンパ腫)や血液の病気(血小板減少性紫斑病)にも関係することが分かっています。

<いつ感染するの?>

5~6歳以下の幼児期に感染するといわれています。免疫力の低い幼児期に、生水(主に井戸水)や食べ物と一緒に口から入り感染するケースが多いです。

現在は上水道の整備が進んでおり水道からの感染はまれです。

若い方が感染している場合、ピロリ菌を含むだ液を介していると考えられ、ピロリ菌に感染している大人から小さい子供への食べ物の口移しなどは危険です。

なお成人してからは、ピロリ菌を保有している人と同じ食事をした程度ではまず感染しません。

<ピロリ菌をチェックする検査は?>

内視鏡をつかう検査とつかわない検査があります。

*内視鏡をつかわない検査

 尿素呼気試験(息を吐く検査)

 抗体検査(血液、尿)

 抗原検査(便)

当院では、尿素呼気試験抗体検査(血液)を個々のケースに合わせて実施しています。

*内視鏡をつかう検査

 迅速ウレアーゼ試験

​ 組織鏡検法​

 培養法

内視鏡検査実施時に同時に出来ることが利点ですが、細胞の採取が必要なため、侵襲的です。

<だれでも治療を受けられるの?>

2020年現在、ピロリ菌除菌療法の対象となる人は、次の(1)〜(5)のケースです

(1)内視鏡検査または造影検査で胃潰瘍または十二指腸潰瘍と診断された
(2)胃MALTリンパ腫の患者さん
(3)特発性血小板減少性紫斑病の患者さん
(4)早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者さん
(5)内視鏡検査でヘリコバクター・ピロリ感染胃炎と診断された患者さん

<どんな治療なの?>

ピロリ菌の除菌は飲み薬を使います。

2種類の「抗菌薬」と「胃酸の分泌を抑える薬」の計3剤を服用します。1日2回服用し、それを7日間継続していただきます。 のみ忘れることなく正しく服用すれば約9割の方が1回目で治療成功します。

ピロリ菌除菌が成功したかどうかは、薬を服用終了してから約2か月たってから検査を行い判定します。なお2回目の除菌療法までの成功率は99%近くになります。

 

健診(人間ドック)でピロリ菌がいる(いる可能性が高い)といわれた方、両親がピロリ菌の治療を受けたことがある方、胃の調子がよくない方、は内視鏡検査・ピロリ菌検査がお勧めです。